
情シス運用を安定させるためには、「運用の可視化」「優先順位の整理」「外部リソースの適切な活用」が重要です。
しかし近年では、情報システム部門では、サイバーセキュリティ対策の強化と生成AI活用の推進という、性質の異なるテーマへの対応が同時に求められています。その結果、業務の複雑化や負荷の増加により、運用が停滞するケースが見られます。
本記事では、こうした状況を踏まえ、情シス運用が“どこで詰まるのか”を整理し、限られたリソースでも実行可能な、改善判断のコツを解説いたします。
【ウェビナー概要】
テクノプロ・エンジニアリング社は、ITmedia主催セミナー「変わる情シス2026冬」にて講演を実施。情シス運用が停滞する要因や、セキュリティ・生成AI領域の課題、限られた体制で運用を継続する判断軸、外部リソース活用の考え方を解説しました。
はじめに
情シスは、体制および予算が固定されることが多い一方で、対応範囲が広い部門です。また、少人数体制や兼務の増加により、担当が分散しやすい状況が生じています。
このような状況において、外部パートナーの活用を進めている企業も見られますが、要件整理が不十分な場合には期待した効果が得られず、業務が停滞するケースもあります。
また、近年は「セキュリティ脅威への対応」と「生成AIの活用」という2つの重要テーマへの対応が求められています。これらを同時に進めることで、現場の負荷が増加する傾向にあります。
そのため、個別施策に着手する前に、運用全体を見直し、優先順位と進め方を整理することが重要です。
なぜ詰まってしまうのか?

情シス運用が停滞する背景には、少人数体制や兼務の増加、予算制約に加え、業務範囲の広さといった複数の要因があります。
こうした状況では例外対応が増えやすく、その結果として運用が複雑化し、さらに証跡を後から収集する作業が発生するなど、現場の負荷は一層高まっていきます。
また、外部パートナーを活用する場合でも、要件が十分に整理されていなければ作業が円滑に進まず、かえって停滞を招いてしまうことがあります。
こうした状態を改善するためには、まず運用のどの部分でボトルネックが発生しているのかを可視化し、原因を踏まえたうえで対応を進めることが重要です。そうすることで、同様の課題の再発を防ぎ、持続的な運用改善につなげることが可能になります。
セキュリティ領域での課題とは?

セキュリティ対策で重要なのは、高度な攻撃への対応だけでなく、基本的な管理の不備が大きなリスクにつながるという認識です。
たとえば、
- アカウント管理が不十分だと、不要な権限が放置されてしまう
- 端末の更新が遅れると、脆弱性が残ったままになる
- SaaSの設定に不備があると、情報が外部に公開されるおそれがある
これらはいずれも、特別な状況ではなく日常運用の中で発生する問題です。

そのため、対策としては高度なセキュリティツールの導入だけでなく、基本的な管理の徹底が不可欠です。具体的には、アカウント管理・端末管理・SaaS利用状況の把握を定期的に確認することが求められます。
実際に、委託先の端末まで十分にセキュリティチェックが行き届かず、その隙を突かれてサイバー攻撃を受けたケースもあります。
把握しづらい生成AIの運用問題

生成AIは、現場主導で利用が進みやすいという特徴があります。そのため、情シス側が利用状況を十分に把握できていないケースが少なくありません。
特に、個別契約や無料サービスの利用が先行すると、統制が取りづらくなり、結果として利用実態の把握や管理が課題になります。
こうした状況に対しては、まずどのサービスがどの用途で使われているのかを把握することが重要です。あわせて、入力できる情報の範囲や生成結果の取り扱いについても、明確にルール化する必要があります。
多くの企業でガイドライン自体は整備されていますが、組織全体への浸透が不十分なケースも見られます。そのため、ルールの策定にとどまらず、教育や周知を継続的に行うことが重要です。
生成AIへの対応では、「利用を制限する」のではなく、適切に管理しながら活用を促進する視点が求められます。

具体的には、利用状況の実態把握、ガイドラインの整備、利用者教育の実施が重要です。
これらを継続的に実施することで、生成AIの運用を安定させることができます。
運用の課題:今の体制で回せますか?
セキュリティと生成AIはいずれも重要なテーマですが、すべてを内製で対応することは容易ではありません。そのため、優先順位を明確にし、段階的に取り組むことが求められます。
まずは、影響範囲の大きい領域から着手し、その上で段階的に運用を整備していくことが重要です。また、自社だけで対応が難しい領域については、外部リソースの活用も有効な選択肢となります。
ここで重要なのは、継続できる運用を設計することです。一時的な対応にとどまらず、長期的に維持可能な仕組みを構築する必要があります。
テクノプロでは、情シス部門の運用設計や改善に対し、コンサルティングとエンジニアリングの両面から支援を提供しています。自社の体制や課題に応じて、内製と外部活用を組み合わせた最適な進め方をご提案することが可能です。
効果の出やすい外部活用
外部活用がうまくいかないケースでは、目的や依頼範囲が不明確なまま進めてしまうことが多く見られます。このような場合、期待した成果が得られない可能性があります。
一方で、成果が出やすいケースでは、目的と対象範囲が明確に整理されており、現状や課題が適切に共有されています。この違いが、結果に大きく影響します。
そのため、外部パートナーを活用する際は、事前に自社の状況を整理し、「何を解決したいのか」を明確にすることが重要です。
テクノプロでは、現場ヒアリングから課題整理、要件定義まで一貫して支援を行っています。オンサイト・オフサイトの双方から対応することで、現場の実態に即した運用改善を実現します。
また、クラウドや生成AIといった領域においても、導入から運用まで一貫した支援が可能です。自社のみでの対応が難しい場合は、段階的に外部リソースを取り入れる進め方も有効です。
事例紹介
事例1:商品開発情報共有システムのクラウド化(電気機器メーカー様向け)
電気機器メーカー向けに、商品開発情報を共有するWebシステムをAWS上に構築した事例です。設計から構築、テスト、運用まで4名で一貫して対応しています。
このような取り組みにより、情報共有の効率化と運用の安定化、コスト削減に大きく貢献することができています。

事例2:動画閲覧システム機能開発(教育研修ベンダー様向け)
教育研修事業者向けに、セミナー動画を配信するシステムをサーバレス構成で構築し、リリース後の運用面を圧縮できました。これにより、運用コストの削減と作業負荷の軽減を実現しています。
また、自動化を進めることで、運用の効率化にもつながっています。

事例3:メガバンクグループ様向け決済業務システム開発(インフラ開発)
メガバンクグループ向けの決済業務システム開発では、大手SIer経由のインフラ開発チームに参画。5~17名体制でAWS環境のPoCから本番運用までを担当しました。
AWSサービス、OS、ミドルウェアの機能・信頼性・運用設計を担い、要件定義から設計、構築、テスト、本番移行、運用保守まで全工程を一貫して対応しています。

事例4:メガバンクグループ様向けシステム自動構築基盤開発(インフラ開発)
メガバンクグループ向けインターネットバンキングのコンテナ基盤構築にて、6名体制のインフラ開発に参画。
AWS、OS、ミドルウェアの設計・構築からテスト、本番移行、運用保守まで一貫して対応しており、基本設計からリリースまでの全工程を担当しています。

事例5:メガバンクグループ様向けシステム自動構築基盤開発(インフラ開発)
メガバンクグループ向けのシステム自動構築基盤開発において、2名体制のインフラ開発チームに参画。
AWS、OS、ミドルウェアの保守工程を担当し、在宅勤務を中心に実機作業や対面時はお客様拠点で対応しました。複数リージョン環境の運用保守に従事しています。

事例6:システム自動構築基盤開発・拠点業務AIチャットボット開発
大手人材グループ様向けに、拠点業務を効率化する生成AIチャットボットの開発に従事しました。
社内規程やマニュアルと連携し回答を自動生成する仕組みを構築。要件定義から設計、開発、テスト、本番移行、運用保守まで4名体制で一貫して対応しています。
このように、テクノプロはクラウドと生成AIを組み合わせた支援にも対応しています。

まとめ
情シス運用の課題は、個別の施策だけで解決できるものではありません。
まずは現状を正しく把握し、どこにボトルネックがあるのかを明確にすることが、改善の第一歩となります。
- 運用が属人化している
- セキュリティ対応が後手に回っている
- 生成AIの管理が追いついていない
- 外部活用の進め方が分からない
こうした課題を感じている場合は、早い段階で運用全体を整理することが、結果的に最短での改善につながります。
無理にすべてを自社で抱えるのではなく、必要な部分から外部の力を取り入れることで、持続可能な運用体制を構築することが可能になります。
自社の状況や課題に応じた進め方を検討するには、まず現状を整理することが重要です。
「何から着手すべきか分からない」といった段階でも構いませんので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
テクノプロ:AWSパートナーとして

テクノプロは、AWSパートナーとしてクラウド導入から運用まで一貫した支援を提供しており、パートナーランクにおいては「Advanced Tier」を取得しています。
さらに特長的なのは、単なる導入支援にとどまらない“人材サービス型AWSパートナー”である点です。グループ全体で5,000件以上のAWS資格を保有し、2,400名以上の有資格エンジニアが在籍しており、お客様の課題やフェーズに応じて最適な人材・体制を柔軟に組み合わせることが可能です。
これにより、設計・構築といった上流工程から、運用・改善フェーズに至るまで、プロジェクト単位で最適なスキルセットを提供できるため、単発の支援ではなく、継続的な価値創出につながる体制を構築できます。
登壇者紹介

園部優太
株式会社テクノプロ
テクノプロ・エンジニアリング社
事業企画部 部長
兼 技術管理課長、ビジネス推進課長
主な業務は全社技術組織統制、アカウント戦略推進、アライアンスリード(AWS社)。請負推進、キャリア支援等を担当する

中林泰樹
株式会社テクノプロ
テクノプロ・エンジニアリング社
第三統括部 シニアマネージャ
現在は若手メンバーと生成AI駆動開発プロジェクトを推進する。
これまで、1万人~ 規模の企業でインフラ、開発、運用などの領域に関与してきた。全体システム設計を軸に、実装などの開発など手を動かすのが好き。特に生成AIとセキュリティの掛け合わせに注目中


