AWS生成AIガイド|Amazon Bedrockの構築・料金・事例

AWS導入

監修者

テクノプロ・ホールディングス株式会社

ITエンジニアとして25年のキャリアを持ち、チーフマネージャーとしてテクノプロ・エンジニアリング社にて金融・商社・製造業など多業界でのインフラ基盤構築に従事してきた。2008年から2024年まで、オンプレミス環境でのストレージ・サーバ統合基盤の設計・構築を手掛け、特に生成AI・データ利活用分野のソリューション開発実績が評価されている。現在は技術知見を活かしたマーケティング戦略を推進している。

生成AIをビジネスで活用する企業は急速に増えています。しかしながら、多くの企業からは、生成AIについて「どのように活用すべきかわからない」「セキュリティに懸念がある」「コスト管理が難しい」といった声も少なくありません。

本記事では、AWSにおける生成AIの中核である「Amazon Bedrock」の特徴や料金体系、具体的な導入事例から始め方までを網羅的に解説します。この記事を読むことで、自社のビジネス課題に対し、どのようにAWSの生成AIを活用し、構築や運用の具体的なステップが明確になるでしょう。

AWSに生成AIの導入をご検討の際は、さまざまな業種業態のニーズに沿った多くの実績がある株式会社テクノプロへご相談ください。それぞれの目的に合ったAWS環境における生成AIの構築・運用をご提案いたします。

株式会社テクノプロのイメージ画像
Index

AWS生成AIの基礎と企業に選ばれる理由

「 AWS生成AIの基礎と企業に選ばれる理由」のイメージ画像

AWSの生成AIは、企業の業務効率化や新規サービス創出を支える重要な技術として注目を集めています。
本章では生成AIの基礎知識を整理した上で、AWSの生成AI「Amazon Bedrock」について解説します。

生成AIとは?

生成AIとは、学習したデータを基にして、文章や画像・音声・プログラムコードといった新しいコンテンツを自律的に創造できる人工知能のことです。

従来のAIは、既存データを分析し、傾向の把握やパターンの分類・予測を行う用途が中心でした。たとえば、工場の画像をもとに不良品を検知したり、過去の売上データから将来の需要を予測したりする使い方が一般的です。

一方で、生成AIは「新しいデータを生み出す」という点でこれまでのAIとは異なります。ユーザーの指示 (プロンプト) に応じて、自然な文章を作成したり、独創的な画像を生成したりすることが可能です。すなわち、分析ツールとしての役割だけでなく、創造的な作業を支援する技術と言えます。

従来AIと生成AIの比較についての解説画像

企業が生成AI導入で重視するポイント

ビジネスで生成AIを導入する際は、性能はもちろん、継続的に安心して利用できることが重要です。

企業が生成AIの導入で重視すべき主なポイントは、次の3点です。

セキュリティ機密情報を扱うため、データの学習利用や外部流出を防ぐ仕組みがある
既存システムとの連携社内データベースや業務アプリと連携し、既存環境へスムーズに組み込める
運用コストの透明性利用量に応じたコストが明確となっており、管理機能がある

このように、3つのポイントを満たすことで、企業は継続的に安心して生成AIを活用できるようになります。

また、生成AI技術は日々進化しており、次々と登場する高性能で安価なモデルの利用が可能です。特定のAIモデルに固定した使い方は、コストや性能の最適化が困難になるリスクがあります。そのため、これら3つのポイントを押さえた上で、複数のAIモデルを柔軟に切り替えられる環境を選ぶという長期的な視点も欠かせません。

AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の基本と企業に選ばれる理由

AWSは生成AIとして「Amazon Bedrock」を提供しています。「Amazon Bedrock」は、企業が生成AIの導入で重視すべきポイントを次のように満たしています。

セキュリティ入力データや生成結果がモデルの学習に使われず、AWSの厳格なセキュリティポリシーと強固な環境下で機密情報が保護される
既存システムとの連携CloudWatchやLambdaといった既存のAWSサービスと容易に連携でき、スムーズな実業務への組み込みが可能となる
運用コストの透明性インフラの構築・管理コストが不要で、利用した分だけ支払う従量課金制によりコストの可視化が容易となる

このようにAmazon Bedrockは、企業が生成AIの導入で重視すべき主なポイントを高い水準で両立しています。

また、Amazon Bedrockの最大の強みと言えるのが、特定のAIモデルに依存せず用途に応じて柔軟に切り替えられる点にあります。高性能なClaude (Anthropic社) をはじめ、Amazon純正モデルのTitanやNovaなど、複数のAIモデルを必要に応じて使い分けることも可能です。

さらにAmazon Bedrockはフルマネージドなサーバーレスサービスとして提供されており、サーバーのプロビジョニングやメンテナンスといった煩雑なインフラ管理を意識する必要がありません。
結果として、企業はセキュリティやコスト管理といった基盤部分を安定させた上で、自社のビジネス価値を最大化するためのアプリケーション開発や活用により集中できるようになります。

AWSの生成AI 「Amazon Bedrock」とは

「AWSの生成AI 「Amazon Bedrock」とは」のイメージ画像

Amazon Bedrockは、生成AIアプリケーションを構築・拡張するためのAWSのフルマネージドサービスです。ここでは、Amazon Bedrockが具体的に何ができるか、AWSが提供する他のAIサービスと何が異なるかについて解説します。

Amazon Bedrockの特徴・できること

Amazon Bedrockは、インフラ管理 (サーバーの準備やメンテナンスなど) を行わずにAI機能をアプリケーションに実装できる点が大きな特徴です。

主な特徴は次の通りです。

API経由で手軽サーバー構築不要で、APIを呼び出すだけで高性能なAIモデルを即座に利用可能
高度な機能の実装社内データと連携するRAG (検索拡張生成) や、タスクを自動実行するエージェント機能を容易に構築可能
多様なモデルへのアクセス他社製モデル (Claudeなど) やAWS製モデル (Titan・Nova) を単一のインターフェースで利用可能

AWSにはAmazon Bedrock以外にもAI関連サービスが存在しますが、それぞれの役割や利用シーンは以下のように明確に異なります。

サービス名利用者主な役割・特徴
Amazon Bedrock・AIを使ったサービス開発者・AI機能を組み込んだアプリ開発
・インフラ管理不要のサーバーレス
SageMaker・AIエンジニア
・データサイエンティスト
・独自のAIモデル構築・学習が可能
・独自モデルの詳細なパラメーター調整 (チューニング) が可能
Amazon Q・従業員
・エンジニア
・対話型の業務アシスタント
・チャット形式で課題解決

Amazon Bedrockは既存モデル (Claude・Titan・Novaなど) を利用して手軽にAIアプリを作る」ためのサービスです。一方で、SageMakerはAIモデルそのものを作る」ための基盤、Amazon Qは完成されたAI」ツールという違いがあります。

2024年12月に発表されたAWS独自開発の最新モデル「Nova」は、このAmazon Bedrock上で利用可能なモデルの一つです。Amazon Bedrockを利用することで、最新かつ高性能なモデルもすぐに利用できます。

Amazon Bedrockの主要基盤モデル(Claude・Titan・Nova)

Amazon Bedrockの大きな利点には、世界的なAI企業が開発した高性能なモデルを、1つのサービス内で自由に切り替えて利用可能なことがあります。特定のモデルに固定されることなく、用途に応じて最適なものを使い分けることができます。

Amazon Bedrockで利用可能な主要モデルと特徴は以下の通りです。

モデル名提供元特徴
ClaudeAnthropic社・高度な推論と自然な日本語対応
・複雑な指示の理解や長文の要約、コード生成に優れている
・Opus (最高性能) やSonnet (バランス型) 、Haiku(高速・安価) といった、用途に応じてモデル選択可能
TitanAmazon社・AWS純正の高コスパモデル
・テキスト生成だけでなく、画像生成も可能
・検索システム (RAG) 向けの埋め込み表現にも対応
NovaAmazon社・2024年12月に発表された最新モデル
・処理速度とコスト効率に優れている

解決したい課題に合わせてモデルを選定することで、AIアプリの性能とコストを最適化できます。

Amazon Bedrockのセキュリティ

Amazon Bedrockは「データは利用者のもの」という原則のもと、AWSの厳格なセキュリティポリシーに基づいて設計されており、データのプライバシー保護を最優先にしています。

Amazon Bedrockのセキュリティに関する主な特徴は以下の通りです。

学習への利用禁止入力データや生成結果が、AWSのサービス向上の学習に使われることはない
データの暗号化データは転送中も保存も暗号化され、VPC (仮想プライベートクラウド) による安全な通信が可能
コンプライアンス準拠GDPRやHIPAAなど、国際的な主要コンプライアンス基準に準拠している

このように、Amazon Bedrock は、データの学習利用を行わない設計や暗号化、各種コンプライアンス対応など、企業利用を前提とした高いセキュリティ水準を備えています。

こうした基盤があるからこそ、Amazon Bedrock は、社内データを活用した業務支援ツールや、既存システムに組み込む生成AI機能など、企業の業務プロセスに密接に関わるAI活用にも安心して利用できます。

実際に Amazon Bedrock がどのような業務で活用され、成果を上げているのかについては、「5.【企業別】生成AIのユースケース&導入事例」で詳しく紹介します。

AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の始め方

AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の始め方のフロー図

ここでは、実際にAWSでAmazon Bedrockを利用開始するための手順を解説します。

複雑なインストール作業は不要ですが、利用を始めるにはAWSの管理画面上でいくつかの設定を行う必要があります。

Amazon Bedrockを有効化する手順

Amazon Bedrockを利用するには、AWSマネジメントコンソール (AWSのサービス管理画面) で利用するリージョンを選択します。次に利用するモデルを有効化しますが、主要なモデルは自動的に有効化されています。

具体的な手順は次の通りです。

1.リージョンの選択(1) AWSマネジメントコンソールにアクセスし、Amazon Bedrockの画面を開きます。
(2) 画面右上のメニューから、利用するリージョンを選択します。
※ 日本国内での利用に適した「東京 (ap-northeast-1)」や、最新機能がいち早く提供される「バージニア北部 (us-east-1)」を選択するのが一般的です。
2.利用モデルの有効化Titanなどの基盤モデルは、初期設定で利用可能なため有効化は不要です。
※ Claudeを利用する場合は、画面の指示に従い有効化が必要です。

AWSマネジメントコンソールを使うことで、複雑な操作をせずに設定できます

Playgroundでモデルを試す方法

モデルが利用できるようになるとPlayground機能を使い、簡単に生成AIを試すことができます。Playgroundとは、プログラムコードを書かずに、モデルの動作確認ができる機能です。

具体的には、AWSマネジメントコンソールを操作して以下の手順を実施します。

1.Playgroundの起動左側メニュー「Playground」から「Chat / Text」や「Image」などの試したい機能を選択します。
2.モデルの選択と実行画面上で使用するモデル (例: Titan Text G1 – Express) を選択し、プロンプト (指示文) を入力して「Run」ボタン (または「送信アイコン」) を押します。
3.パラメータの調整回答の精度や創造性を調整したい場合は、画面右側の設定で「Temperature (ランダム性) 」などのパラメータを変更して、動作の違いを確認します。

このように、生成AIの動作確認やパラメーターの調整を手軽に試すことができます。

Knowledge Basesで社内データ検索AI (RAG) を作る

生成AIをビジネスで活用する際、「社内のマニュアルや規定に基づいて回答させたい」というニーズがあります。これを実現するのが「Knowledge Bases for Amazon Bedrock」です。Knowledge Basesを使えば、社内ドキュメントを読み込ませるだけで、その内容に基づいた回答を行うAI (RAG) を構築できます。

構築の具体的なステップは以下の通りです。

1.データのアップロードS3に読み込ませたいドキュメント (PDF・Wordファイルなど) をアップロードします。
2.Knowledge Baseの作成(1) AWSマネジメントコンソールのAmazon Bedrockメニューから「Knowledge bases」を選択します。
(2) 設定ウィザードに従い以下を指定します。
・データソース: 先ほどのS3バケット
・Embeddingモデル: 検索に使用するモデル (例: Titan Embeddings G1 – Text)・ベクトルデータベース: Quick create a new vector store (自動作成)
3.データの同期設定が完了したら、同期 (Sync) ボタンを押します。これにより、S3内のドキュメントがAIの理解できる形式に変換されて検索可能な状態になります。

同期完了後は、右側のテストウィンドウで質問を投げかけると、アップロードしたドキュメントの内容を引用した回答となります。複雑なプログラムを書くことなく、自社専用の知識を持ったAIをスピーディに構築できる点が大きなメリットです。

Agent機能で簡単なフロー自動化を試す

Amazon Bedrockのもう一つの機能が「Agents for Amazon Bedrock」です。これは、AIがユーザーの指示を理解し、APIを呼び出して具体的なタスク (例: 在庫確認・データ集計・予約処理など) を自動実行する機能です。Agentを使えば、単に「答える」だけでなく「自分で考えて行動する」AIを作成できます。

基本的な作成ステップは以下の通りです。

1.Agentの作成Amazon Bedrockのメニューから「Agents」を選択し、「Create Agent」をクリックします。使用するモデル (例: Claude) を選択し、AIへの指示として「あなたは在庫管理の担当者です」といった役割を記述します。
2.アクショングループの設定「Action groups」を追加し、AIに実行させたい処理を定義します。実行するプログラム (Lambda関数) を指定し、どのようなパラメータを受け取るかを設定することで、「在庫データベースを検索する」といったアクションができるようになります。
3.テストと実行右側のテスト画面で指示を出します。例えば「商品Aを予約して」とプロンプトを入力します。AIが不足している情報 (色・数など) を自ら質問し、すべての情報が揃ったら自動的に予約処理 (API実行) を行います。

Agent機能を利用すれば、複雑な業務フローを自律的にこなす高度なAIアシスタントを構築できます。

APIからAmazon Bedrockを呼び出す基本

Amazon Bedrockを自社のシステムやアプリケーションに組み込む場合は、AWS SDK (開発キット) を使用してプログラムから呼び出します。Pythonを使用する場合、AWS公式ライブラリである「Boto3」を使うのが一般的です。仕組みはシンプルで、Amazon Bedrock Runtimeのクライアントを作成し、モデルIDとメッセージを渡して実行します。

以下に、最新の「Converse API」を使用した最小限のコード例 (Python) を示します。

import boto3

# 1. Amazon Bedrock Runtimeクライアントの作成
client = boto3.client(“bedrock-runtime”, region_name=”ap-northeast-1″)

# 2. モデルIDとメッセージを指定して実行
response = client.converse(
    modelId=”anthropic.claude-3-5-sonnet-20240620-v1:0″,
    messages=[{“role”: “user”, “content”: [{“text”: “生成AIのAPI呼び出しテストです!返信してください。”}]}]
)

# 3. 結果の表示
print(response[“output”][“message”][“content”][0][“text”])

数行のコードだけで、Claudeなどの高性能なモデルを呼び出し、アプリケーションにAI機能を統合できます。また、従来のAPIとは異なり、新しい「Converse API」を使うことで、モデルごとの複雑なパラメータを意識せずに統一的な記述が可能です。

AWSで生成AIを導入するためのステップとチェックポイント

「AWSで生成AIを導入するためのステップとチェックポイント」のイメージ画像

生成AIの導入は、段階的に進めることが大切です。ここでは、導入に向けた具体的なステップと、各フェーズのチェックポイントを解説します。

準備フェーズ (データ・利害関係者・体制)

生成AIの導入を始動する前に、解決すべきビジネス課題を明確にして、何に生成AIを活用するのか定義することが大切です。

具体的には以下を検討します。

課題の明確化ビジネスの課題を整理し、生成AIで何を実現したいのか利用目的を定義する
データ整備回答精度を高めるために社内データを整備 (クレンジング) する
体制生成AIを活用する際のリスクに備えて、法務・セキュリティ部門を含めた体制を作る
ガイドライン策定リスク管理のための利用ガイドラインを策定する

準備フェーズでは活用するデータの整備と運用のルールを決めることが重要です。AIが正しく機能するための環境を整えることで、手戻りのリスクを最小限に抑えられます。

PoC・実装フェーズ (サービス選定・モデル構築・API活用)

準備が整ったら、いきなり大規模な開発を行うのではなく、範囲を限定したPoC (概念実証) からスタートします。
特定の業務 (例: 議事録の要約・社内FAQの検索) に絞って試作を行い、費用対効果を検証することがポイントです。

PoCフェーズで実施すべき主なアクションと検証項目は以下の通りです。

モデルの選定自社の課題に最適なモデル (Claude・Titanなど) を選定し、コストと性能のバランスを確認する
プロンプト調整指示文 (プロンプト) を工夫して、生成AIが意図通りの回答をするか精度を調整する (プロンプトエンジニアリング)
RAGの構築社内データをKnowledge Baseに連携させ、独自知識に基づいた正確な回答ができるか検証する

PoCで得られた知見をもとに、本番環境への実装を進めることで、手戻りを防ぎ効率的な開発が可能になります。単に動くものを作るだけでなく、「業務で使えるレベルの精度が出るか」「レスポンス速度は実用的か」といった非機能要件もしっかりと確認することが大切です。

運用フェーズ (モニタリング・改善・スケーリング)

本番稼働後は、生成AIが期待通りに動作し続けているかを常に監視し、必要に応じて改善する必要があります。

運用フェーズにおける主なアクションは以下の通りです。

継続的なモニタリングCloudWatchなどを活用し、回答の応答速度・エラー率・利用コスト (トークン量) を可視化および監視する
精度改善のサイクル利用者からのフィードバックを収集し、誤った回答 (ハルシネーション) を減らすためにプロンプトや参照データを修正する

生成AIは一度作って終わりではありません。ユーザーの利用状況に合わせてチューニングを続けることが大切です。

よくあるつまずきポイント

生成AIの導入には、技術的な課題だけでなく、運用面での落とし穴も存在します。事前に対策を講じることで、プロジェクトの停滞や失敗を防ぐことができます。

主なつまずきポイントと対策は以下の通りです。

つまずきポイント対策
予期せぬコストが増加する従量課金制のため、Budgetsで予算アラートを設定し、意図しない高額請求を防ぐ
曖昧な目的と過度な期待「生成AIなら何でもできる」と期待せず、特定の業務に絞ってスモールスタートする
生成AIの回答を鵜呑みにする生成AIは誤情報 (ハルシネーション) を生成する可能性があるため、必ず人の目で事実確認を行うプロセスを設ける

生成AIの導入を成功させるポイントはコストの可視化と生成AIの限界を理解することにあります。リスクを正しく認識し、適切なルールや監視設定を設けることで、安全かつ効果的に生成AIを活用できます。

【企業別】生成AIのユースケース&導入事例

「【企業別】生成AIのユースケース&導入事例」のイメージ画像

Amazon Bedrockは多くのビジネスで導入され、成果を上げています。
ここでは、各業界での活用ユースケースを事例と共に紹介します。

金融|銀行・証券・保険

Amazon BedrockをAWSの既存サービスと組み合わせることで、コスト削減とデータの深堀を実現することができます。

▼活用事例: Principal Financial Group

AWS の Post Call Analytics ソリューションを利用することで、Principal は、カスタマーエクスペリエンスの改善可能な部分を理解し、実用的なインサイトを生成して、行動を起こすべき箇所を最優先するための大規模な履歴分析を実施できるようになりました。今回、Amazon Bedrock を使用した生成 AI を追加して、ビジネスユーザーがコストを削減しながらデータドリブンの意思決定をより迅速かつ正確に行えるようにしています。

引用: Amazon Bedrock のお客様の声 | Principal Financial Group

建設

生成AIを活用して、社内の膨大な情報を効率的に検索・活用できるシステムを構築できます。

▼活用事例: 竹中工務店

生成 AI は、生産効率向上に大きく寄与する可能性があり、当社デジタルトランスフォーメーションへの取り組みにおいて最も重視している点の 1 つです。私たちは、従業員が建設業界の膨大な法規制、社内ガイドライン、ベストプラクティスから情報を簡単に探し出して、ビジネス上の意思決定をよりスマートかつより迅速に行い、ワークライフバランスを向上をさせることを可能にするアプリケーションを構築するために Amazon Bedrock と Amazon Kendra を使用する予定です

引用: Amazon Bedrock のお客様の声 | 竹中工務店

旅行・メディア

生成AIを活用して、コスト削減と競合他社との差別化を実現できます。

▼活用事例: Lonely Planet

私たちは、お客様がすばらしい旅行を計画し、パーソナライズされた旅行日程で人生を変えるような経験を生み出すことができるように、AWS で生成 AI ソリューションを開発しています。Claude 2 を Amazon Bedrock で構築したことで、本のコンテンツを数分で整理して、まとまりのある非常に正確なお薦めの旅行情報を配信できる、スケーラブルで安全な AI プラットフォームを迅速に構築し、旅程生成コストを 80% 近く削減できました。

引用: Amazon Bedrock のお客様の声 | Lonely Planet

中小企業・ベンチャーでのAmazon Bedrock活用ポイント

「中小企業・ベンチャーでのAmazon Bedrock活用ポイント」のイメージ画像

生成AIの導入は大企業だけではありません。サーバーレスで初期費用がかからないAmazon Bedrockは、限られたリソースの中小企業やベンチャー企業にこそ最適なサービスといえます。

小規模ですぐ始められる「社内ナレッジ検索AI (RAG) 」を活用

Amazon Bedrockの「Knowledge Bases」機能を使えば、低コストで社内専用の検索AIを導入可能です。

社内Wiki・マニュアル・議事録などを検索可能にすることで、以下の効果が期待できます。

情報検索時間の短縮膨大な資料の中から必要な情報を即座に見つけ出せる
教育コストの削減新入社員がベテラン社員に質問しなくても、AIが代わりに回答してくれる

Amazon Bedrockはサーバーレスで管理の手間もかかりません。特定の部署や業務に絞ってスモールスタートし、効果を見ながら適用範囲を広げていく運用を実現できます。

問い合わせ・サポート対応の自動化で業務負荷を大幅削減

中小企業やベンチャー企業では、少人数の担当者に問い合わせ対応が集中する傾向があります。このため、本来注力すべきコア業務 (営業活動や商品開発など) の時間が削られてしまうケースが少なくありません。

Amazon Bedrockを活用して問い合わせの一次対応を生成AIに任せることで、以下のメリットがあります。

コア業務への集中よくある質問 (FAQ) への回答をAIが自動化することで、担当者は人間にしかできない売上に直結する業務に集中できる
顧客満足度の向上24時間365日、生成AIが自動応答で即時回答するため、顧客を待たせることなく満足度の向上につながる

限られたリソースであっても、生成AIを活用することで、人手を増やさずにサポート体制を強化できます。リソース効率を重視する企業にとって強力な武器となります。

資料作成・コンテンツ生成の効率化で少人数でも成果を出す

中小企業やベンチャー企業では、優れた自社商品を開発しても、拡販するための営業資料作成やマーケティングに必要な人員を割けない場合があります。Amazon Bedrockのテキスト生成AIを活用することで、作業を大幅に効率化したコンテンツ制作を実現できます。

資料作成やコンテンツ生成をAIに任せるメリットは以下の通りです。

制作スピードの向上数時間かかっていたコンテンツのドラフト作成が数分で完了するため、推敲や戦略立案に時間を割ける
発信力の強化少人数チームでも大企業並みの頻度と量で質の高いコンテンツを制作・発信できる

また、商品の特徴やターゲット層の概要を入力するだけで、次のようなマーケティングコンテンツを自動生成できます。

・提案書の構成案
・ブログ記事
・SNSの投稿文

生成AIを制作パートナーとして活用すれば、限られたリソースでも大きな成果を出すことが可能です。

AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の料金体系とコスト管理

「AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の料金体系とコスト管理」のイメージ画像

AWSの生成AIサービスは、従量課金制 (使った分だけ支払う) です。
初期費用はかかりませんが、モデルの種類や利用方法によって料金体系が異なるため、事前に仕組みを理解しておくことが大切です。

AWSの生成AI「Amazon Bedrock」の料金体系

Amazon Bedrockの料金体系は次の2系統があります。

オンデマンド従量課金 (トークン課金)
プロビジョンドスループット固定料金 (時間単位の契約)

最初はどれだけのトークン量を使うか見極めるために、オンデマンドを利用するのが一般的です。

以下は、オンデマンドの試算例 (*1・2) です。日本語で約1,000文字 (文字数 ≒ トークン量)の入力に対し、同量の回答 (出力) を得た場合の試算となります。

モデル名1,000トークン単価(入力 / 出力)1回あたりの目安
Claude 4.5 Sonnet$ 0.003 / $ 0.015約 2.7 円
Titan Text Express$0.000275 / $ 0.000825約 0.2 円
Nova 2 Pro (Standard tier)$ 0.00151 / $ 0.0125約 2.1 円

*1: 1ドル = 150円換算

*2: 2025年12月時点のアジアパシフィック (東京) リージョン料金にて算出

単価は入力と出力で異なるため注意が必要です。料金は変わるため、最新情報はAWS公式サイトをご確認ください。

また、Amazon Bedrockを利用する際は、モデルのトークン料金以外にも、システム構成に応じて以下の費用が発生する場合もあります。

データ転送料生成したテキストや画像を、インターネット経由でユーザーの画面に表示する際にかかる通信料
ログ保存料 (CloudWatch Logs)「誰がいつ何を使ったか」などの監査ログや利用履歴を保存する場合にかかるストレージ料金
ベクトルDB料金 (OpenSearch Serverless等)Knowledge Bases (RAG) 機能を利用する場合、裏側で稼働するデータベースの料金

これらも必要に応じて予算に含めておくことがポイントです。

コスト管理

従量課金のサービスを安心して利用するためには、コストを適切に管理する仕組みが必要です。

コストを最適化し、予期せぬ請求を防ぐための主な対策は以下の通りです。

モデルの使い分け料金はモデルによって大きく異なるため、単純な要約には安価なモデル (TitanやNovaなど) 、複雑な推論には高性能なモデル (Claudeなど) を使い分ける
予算アラートの設定Budgetsを使用して予算上限を設定し、閾値を超えたらメール通知が届くようにして意図しない高額請求を防ぐ

すべてのタスクに最高性能のモデルを使う必要はありません。業務の難易度に合わせてモデルを選択し、万が一のための監視体制を整えることが大切です。

まとめ

本記事では、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」の特徴や料金、導入手順について解説しました。
Amazon Bedrockは、サーバーレスでインフラ管理が不要なだけでなく、ClaudeやNovaといった高性能なモデルをAPI経由で手軽に利用できる点が大きな魅力です。セキュリティやガバナンスを確保しながら、社内ナレッジの検索 (RAG) や業務フローの自動化 (Agents) といったビジネス課題の解決を強力にサポートします。

生成AIの導入は、スモールスタートで効果を検証しながら進めることがポイントです。自社のビジネスを効率化する新たな一手として、Amazon Bedrockの活用をご検討してはいかがでしょうか。

AWSの生成AI導入なら、国内25,000人以上 (*1) の技術者を擁し、大手企業を中心に2,555社との取引実績 (*2) を持つ株式会社テクノプロにお任せください。最適な運用設計から監視・障害対応・コスト最適化まで、一括して任せることができます。
*1: 2024年6月末時点
*2: (株)テクノプロ及び(株)テクノプロ・コンストラクション 2024年6月末時点

株式会社テクノプロのイメージ画像

監修者

テクノプロ・ホールディングス株式会社

ITエンジニアとして25年のキャリアを持ち、チーフマネージャーとしてテクノプロ・エンジニアリング社にて金融・商社・製造業など多業界でのインフラ基盤構築に従事してきた。2008年から2024年まで、オンプレミス環境でのストレージ・サーバ統合基盤の設計・構築を手掛け、特に生成AI・データ利活用分野のソリューション開発実績が評価されている。現在は技術知見を活かしたマーケティング戦略を推進している。