AWSの導入や運用を検討する際、「保守費用はどのくらいかかるのか」「外部に委託するとどれくらいが相場なのか」といった疑問を持つ担当者は少なくありません。特に、監視や障害対応の範囲、対応時間の違いによって費用が大きく変動するため、適正な価格を判断するのが難しい領域です。
また、AWSの保守費用は設計や運用方法によって大きく変わるため、気付かないうちに無駄なコストが発生しているケースも見られます。
本記事では、AWS保守費用の相場を起点に、費用が変動する要因、外注・内製の違い、コスト削減のポイントと限界まで体系的に解説します。
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AWS保守費用の相場はどれくらい?【結論と全体像】

AWS保守費用は、システム規模や運用体制によって大きく変動します。一般的な目安として、月額費用は数万円から100万円以上と幅があります。まずは全体の相場感を把握し、自社がどの水準に当てはまりそうかを整理しましょう。
なお、AWS保守費用は構成や運用範囲によって変動するため、単純な金額だけで判断することは難しい点にも注意が必要です。
AWSの「保守費用」に含まれる範囲
AWSの保守費用は主に以下で構成されます。
- AWS利用料(EC2やS3などのインフラ費用)
- 運用保守費(監視・障害対応)
- サポート費用(AWSサポート)
- 初期費用(設計・構築)
※EC2は仮想サーバ、S3はストレージサービスのことです。
AWS保守費用の相場レンジ(小規模〜大規模)
- 小規模:5万〜20万円/月(EC2数台程度)
- 中規模:20万〜80万円/月(Web+DB構成)
- 大規模:80万〜200万円以上/月(冗長・24時間対応)
なお、小規模・中規模・大規模の分類には明確な基準があるわけではなく、システム構成や利用用途、運用体制などをもとに一般的な目安として用いられています。
図1|AWS保守費用の規模目安
| 規模 | 構成例 | 用途 | 運用レベル | 特徴 |
| 小規模 | EC2数台・単体DB | 検証・小規模サービス | 兼任 | コスト低 |
| 中規模 | Web+DB・冗長構成 | 業務システム | 専任あり | 標準構成 |
| 大規模 | 分散・高可用構成 | 基幹・EC | 24時間運用 | 高コスト |
AWS保守費用はなぜブレる?相場が変わる主な要因
AWSの保守費用は、システムの規模やアーキテクチャの複雑さ、要求されるサービスレベルによって大きく変動します。具体的には、以下のような要因が影響します。
- システム構成
- 運用体制
- 自動化の有無
システム規模・構成(EC2/RDS/EKS)による違い
AWSの構成は保守費用に大きく影響します。サービスの選び方によって運用負荷が変わり、それがそのままコストに反映されるためです。
具体的には、以下のように構成ごとにコスト傾向が異なります。
• EC2中心:自由度が高いが運用負荷が大きい(コスト:中〜高)
• RDS:データベース管理を自動化(コスト:低〜中)
• EKS:コンテナ運用で高度だが難易度高(コスト:高)
EC2中心の構成は柔軟性が高い一方で、OSやミドルウェアの管理を自社で行う必要があり、その分運用コストが発生しやすくなります
対応時間・SLA・体制の違い
対応時間やSLA(サービスレベル合意)、運用体制の違いも、AWS保守費用に大きく影響します。対応の範囲や求められる品質が高いほど、人員や対応工数が増えるため、その分コストは上昇します。
具体的には、以下のように費用感が変わります。
平日日中のみ:対応時間が限定される(コスト:低)
- 24時間365日対応:常時監視・即時対応が必要(コスト:高)
一次対応のみ:アラート確認・切り分けまでで完結する(コスト:低)
- 復旧作業まで対応:原因調査・復旧対応まで含む(コスト:高)
平日日中のみの対応であれば、少人数での運用が可能なため比較的コストを抑えられます。一方で、24時間365日の体制を構築する場合は、複数人によるシフト体制やオンコール対応が必要となるため、人件費が大きく上昇します。
また、一次対応のみであれば作業範囲が限定されるため費用を抑えられますが、復旧作業まで求める場合は専門的な対応が必要となり、結果的に保守費用が高くなる傾向があります
自動化・標準化の進み具合による影響
自動化や標準化の進み具合も、AWS保守費用に大きな影響を与える要素です。運用作業が手動で行われている場合、人手による対応が増えるためコストが上昇しやすくなります。一方で、自動化が進んでいる環境では作業工数を削減できるため、保守費用を抑えやすくなることが想定されます。
以下は、自動化の有無によって生まれる費用差の具体例です。
• 自動化なし:手動運用が中心となり対応工数が増える(コスト:高)
• 自動化あり:運用作業を自動処理できるため工数削減(コスト:低〜中)
実際に、クラウド環境の最適化・自動化導入によってコスト削減が実現された事例も報告されています。
クラウド最適化プロジェクトが行われた事例では(※1)、自動化導入により運用工数の削減・非稼働環境の自動停止を実施、コストが月額AWS費用を約30%削減 したという結果が見られました。
また別の事例でも、インフラの見直しや自動化の適用によりAWS費用を約30%削減したケースが確認されています(※2)。
このように、運用作業の自動化(インスタンスの自動停止、スケーリング、ログ管理の最適化など)を進めることで、人的コストとクラウド利用料の両方を削減できるとされています。
※1参照:[AWSコスト最適化と自動化の導入事例]
※2参照:[AWS Cloud Cost Optimization Case Study: Achieving 30% Cost Reduction Through Infrastructure Analysis]
外注した場合のAWS保守費用相場
外注の場合、委託範囲と対応レベルで費用が変わります。小規模環境で外部委託した場合、中~大規模、24時間対応時の相場を確認しましょう。
小規模環境を外部委託した場合の相場感
- 約5万〜20万円/月
- 監視+一次対応
監視と一次対応に限定されることで対応範囲が明確になり、少人数でも運用可能なため比較的低コストで委託できるケースが一般的です。
中〜大規模・24時間対応時の相場感
- 20万〜100万円以上/月
- 24時間体制が含まれる
24時間365日の監視体制や復旧対応まで含むことで複数人によるシフト運用が必要となり、人件費が増加するため保守費用も大きく上昇します。
見積もり時に発生しやすい追加費用・前提条件の違い
見積もり時に発生しやすい追加費用や前提条件の違いも、AWS保守費用を左右する重要なポイントです。
- 夜間・休日対応費
- 作業工数超過
- SLA追加費用
※SLA(Service Level Agreement:サービス品質に関する取り決め)とは、対応時間や復旧時間などのサービス水準を定義したものです。
SLAに含まれる対応範囲や作業条件によって費用が大きく変わるため、どこまでの対応が見積もりに含まれているかを事前に明確に確認することが重要です。
内製した場合のAWS保守費用相場(人件費・工数ベース)
内製の場合、主なコストは人件費となり、インフラ運用や監視、障害対応を担うエンジニアの稼働工数に応じて費用が発生します。体制や担当人数によってトータルコストは大きく変動します。
内製運用に必要なスキル・役割と想定される工数
AWS運用では監視・障害対応・改善対応など複数の役割が求められるため、1人だけでは継続的な対応が難しく、最低でも役割分担ができる1〜2名体制が現実的とされています。
- インフラ担当
- 運用担当
- セキュリティ担当
内製が機能しやすいケース/途中で見直されやすいケース
担当者のスキルや稼働状況に依存しやすく、属人化や対応遅延が課題となるため、運用負荷の増加や体制維持の難しさから、途中で外注へ切り替えるケースが多いとされています。
機能しやすい
- 小規模環境
- AWS経験者がいる
見直されるケース
- 属人化
- 障害対応遅延
図2:外注と内製のAWS 保守費用比較
| 比較項目 | 外注 | 内製 |
|---|---|---|
| コスト構造 | 月額固定 | 人件費 |
| 初期負担 | 少ない | 高い |
| 柔軟性 | 中 | 高 |
| 属人化 | 低い | 高い |
| 立ち上がり | 早い | 遅い |
保守費用を抑える方法と“下げきれない限界”
AWSの保守費用は、設計や運用の工夫によって削減できる可能性がありますが、一方で可用性や運用体制の要件により、一定水準以下には下げられないコストも存在します。ここでは削減のポイントと限界を整理します。
設計最適化・マネージドサービス活用で削減できるコスト
AWSの保守費用は、設計や運用方法を見直すことで削減できる可能性があります。特に近年は、自動化や最適化によるコスト改善が進んでいます。
- リソース最適化
- 自動化
- マネージドサービス活用
EC2インスタンスのサイズ最適化に加え、夜間や未使用時間帯の自動停止を導入することで、リソースの無駄を削減し、AWS利用料と運用工数の両面で約30〜40%削減されるケースが一般的に見られます。

現場で見えてきた「一定以上は下がらない」理由
AWSの保守費用は最適化により削減可能ですが、一定水準以下には下げにくい要素も存在します。これらを理解することが、現実的なコスト設計には不可欠です。
- 冗長構成(可用性確保)
※システム停止を防ぐためにサーバやデータを複数配置する構成 - 人件費
※監視・障害対応などを担うエンジニアの運用コスト - SLA対応
※サービス品質(対応時間・復旧時間など)を保証するための体制
可用性確保のための冗長構成や、24時間対応を支える人件費、SLAに基づく運用体制は必須コストとなるため、運用効率を高めることはできても完全に排除することは難しいとされています。
AWSの保守費用相場を理解した今、自社では何を確認すべきか
AWSの保守費用の相場を理解しても、自社のコストが適正かどうかを判断するのは簡単ではありません。実際には設計や運用状況によって費用が大きく変わるため、確認すべきポイントを整理することが重要です。
相場通りに進まなかった代表的なケース
個別には小さな設定の違いでも、長期間放置されることでコストが積み上がり、結果として相場を大きく上回るケースが多く見られます。
• 過剰スペック設計:実利用に対して過大なEC2インスタンスを継続利用
• ログ肥大:CloudWatchログ保存期間が未設定でデータが蓄積
• 監視設定過多:不要なアラートやメトリクス監視による課金増加
判断材料として一度プロに確認すべき6つの観点
自社のAWS保守費用が適正か判断が難しい場合は、特定のタイミングで専門家に確認することが有効です。特にコストが一定以上に増加している場合や構成が複雑な場合は、客観的な視点が求められます。ここでは6つの観点を紹介します。
• 月額30万以上:運用コストが一定水準を超え、最適化余地が大きい可能性がある状態
• 複雑な構成:複数サービスや冗長構成などにより設計が複雑化している状態
• コストが増え続けている:利用量や設定の影響で継続的に費用が増加している状態)
• 構成の適正性 :インフラ設計が過剰・不足になっていないかを専門家が評価)
• 運用範囲:監視・対応範囲が適切か、過剰サービスになっていないかの確認)
• 無駄コスト:未使用リソースや不要設定などの無駄を洗い出し、削減余地を特定)
まとめ
AWS保守費用は、小規模から大規模まで幅があり、単純な相場だけでは判断できません。構成や運用方法によって大きく変わるため、自社に合った最適なコストを見極めることが重要です。
AWSの保守費用は要件や環境によって大きく異なるため、一般的な相場だけで判断するのは難しいのが実情です。特に無駄コストの有無や最適な運用方法については、専門的な視点での確認が有効です。
AWSの運用は、コスト・統制・運用負荷が複雑に絡む重要領域です。テクノプロは設計整理から運用ルール策定、社内合意形成まで伴走。保守費用最適化の第一歩として、まずはご相談ください。
監修者

テクノプロ・ホールディングス株式会社
チーフマネージャー
中島 健治
2001年入社
ITエンジニアとして25年のキャリアを持ち、チーフマネージャーとしてテクノプロ・エンジニアリング社にて金融・商社・製造業など多業界でのインフラ基盤構築に従事してきた。2008年から2024年まで、オンプレミス環境でのストレージ・サーバ統合基盤の設計・構築を手掛け、特に生成AI・データ利活用分野のソリューション開発実績が評価されている。現在は技術知見を活かしたマーケティング戦略を推進している。


